タワー・オブ・パワーは1970年のデビューから現在まで続く、長い歴史を持つサンフランシスコのファンクグループだ。50年以上におよぶ活動の中で、彼らが最高の状態にあったのは本作『タワー・オブ・パワー』から7thアルバム『ライヴ・アンド・リビング・イン・カラー』(’76)あたりまでではないだろうか。それは、本作からレニー・ウィリアムス(Vo)、ブルース・コンテ(Gu)、チェスター・トンプソン(Key)、レニー・ピケット(Sax)の4人が新たに加入し、グループとしては最高の布陣となったことが大きい。このメンバー編成は5thアルバムの『オークランド・ストリート(原題:Urban Renewal)』(’75)まで続くことになるわけだが、中でも本作『タワー・オブ・パワー』が特に印象深いのは、彼らの代表曲である「ホワット・イズ・ヒップ?」の初演が収録されているからということに尽きるかもしれない。今年の8月8日、残念ながら黄金期のグループを支えたブルース・コンテが白血病で亡くなった。