リトル・フィートのアルバムと言えば、多くの人の頭に浮かぶのは3rdアルバムの『ディキシー・チキン』(’73)だろうが、続く4thアルバム『アメイジング!(原題:Feats Don’t Fail Me now)』(’74)のほうが完成度は高いと僕は思う。『ディキシー・チキン』での圧倒的なパフォーマンスがあったからか、セッション活動が激増し多忙を極めたローウェル・ジョージの穴を埋めるように、ビル・ペインとポール・バレアがアレンジを手がけるようになった5thアルバム『ラスト・レコード・アルバム』(’75)や6thアルバム『タイム・ラヴズ・ア・ヒーロー』(’77)では、ファンクだけでなくプログレやフュージョンっぽい緻密なパフォーマンスを聴かせるようにグループのサウンドは変化していて、僕もリリース当時は他のアルバムと同様に聴き狂ったものだ。しかし、半世紀ほどの時間が経過してみれば、やっぱりローウェル中心のシンプルかつ力強いサウンドが詰まった『ディキシー・チキン』や『アメイジング!』に軍配が上がるのではないかと考えるようになった。そんなわけで、今回はリトル・フィートの『ディキシー・チキン』と双璧をなす名盤『アメイジング!』を取り上げる。