1960年代、本場アメリカのブルースやR&Bに影響されたブリティッシュロックのグループが雨後の筍のように現れた。64年にデビューしたスペンサー・デイヴィス・グループもそうであったが、彼らは他のグループと一線を画していた。その理由はリードヴォーカルをスティーブ・ウインウッドが担当していたからである。ウインウッドの天才歌手ぶりは有名で、イギリスだけでなくアメリカにまでその名が知られていた。グループは「キープ・オン・ラニング」(全英1位)や「ギミ・サム・ラヴィン」(全英2位)といった大ヒット曲をリリースして人気グループとなるものの、ウインウッドは67年に脱退し、新しいロックを追究するためにテクニック面で優れたメンバーを集めてトラフィックを結成する。今回はフュージョンやジャズロックの先駆けとなったトラフィックの4枚目となる傑作『ジョン・バーレイコーン・マスト・ダイ』を取り上げる。