複雑なラテンのリズムとロックのグルーブ感を混ぜ合わせ、まったく新しいロックのスタイルを作り上げたグループがサンタナだ。サイケデリックロックやブルースロックが全盛だった60年代後半のサンフランシスコで、当時まだ珍しかったラテンパーカッションを取り入れたそのサウンドは、まさに血湧き肉躍る情熱的なものであった。サンタナのリーダー、カルロス・サンタナ(メキシコ生まれ)はマイク・ブルームフィールドに憧れて当初はブルースバンドをスタートさせるものの、自身のルーツであるラテン音楽をロックに組み込んだサンタナを68年に結成し、他のグループと差別化を図ることに成功する。以降、現在に至るまで数多くのメンバーチェンジを繰り返しながらも、半世紀にわたって活動を続けている。今回は伝説の『ウッドストック・フェス』(’69)で聴衆が熱狂した「ソウル・サクリファイス」を収めた彼らのデビューアルバム『サンタナ』を取り上げる。