スティーブ・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイの3トップを擁したバッファロー・スプリングフィールド(1966〜68年)は短命に終わるのだが、その後スティルスとヤングはCSN&Yで成功を収め、彼らの音づくりやコーラスは70年代初頭になって現れる多くのシンガー・ソングライター(以下、SSW)やカントリーロックのグループにとって、意識的無意識的を問わず多くの影響を与えるのである。それでは、フューレイがリーダーを務めたポコはどうだろうか。ぼくは、イーグルスをはじめとした70年代型カントリーロックは、ポコの音楽に最も大きな影響を受けているのではないかと考えている。今回取り上げるポコの2作目『ポコ』(’70)は、リードヴォーカル、コーラス、演奏面、ソングライティング、そのどれもが最高レベルの仕上がりとなっている。フューレイのグループ脱退はポコが商業的な成功に恵まれなかったことに責任を感じていたのかもしれないが、少なくともフューレイ在籍時のポコが好きなリスナーにとっては、恐ろしいほどの完成度を持った魅力あるグループだということを知っているのではないだろうか。