本作『ゲット・ヤー・ヤー・ヤズ・アウト』は、1969年のアメリカツアーの模様を収録したストーンズ初の公式ライヴ盤である。この年はグループ創立メンバーのブライアン・ジョーンズの脱退と死があり、ジョン・メイオールのブルース・ブレイカーズに在籍していたミック・テイラーを新メンバーに迎えたばかりの時期だ。ヒット曲は出していたものの、ブライアン・ジョーンズの健康状態やジャガーとリチャーズのドラッグ問題等で、2年ほどライヴ公演から遠ざかっており、このツアーは新生ストーンズとして成功するかどうか、ある意味で大きな賭けでもあった。当時の2年と言えば、今の10年以上に匹敵するぐらい音楽の在り方が変化していた時代である。しかし、ロックギタリストとして文句なしの技量を持ったミック・テイラーの加入は、他のメンバーを鼓舞することにもつながり、本作にはライヴアクトとしてのストーンズの面目躍如たる見事なパフォーマンスが記録されている。僕がこのアルバムと出会ったのが思春期の頃というのが大きいと思うが、未だにストーンズのライヴ盤と言えば『ゲット・ヤー・ヤー・ヤズ・アウト』が最高だと思っている。