2018年にリリースされた『アウトロー&アルマジロ:カントリーの騒然たる70年代(原題:Outlaws & Armadillos:Country’s Roaring ‘70)』はアウトローカントリー(レッドネック・ロックとも言う)好きか、70sシンガーソングライター好きの一部には伝わるかもしれないが、多くの音楽ファンにはその内容がまったく見えないアルバムかもしれない。毎年、テキサス州オースティンで開催される『SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)』は、今では音楽イベントだけにとどまらない巨大フェスとして知られている。では、なぜニューヨークでもロサンジェルスでもないオースティンでこんな大きな音楽イベントが開かれているのかというと、それはオースティンが音楽の街としてアメリカ中に認知されているからである。オースティンが音楽の街として知られるようになったのは、本作のジャケットにも登場するウィリー・ネルソンとウェイロン・ジェニングスに代表されるアウトローカントリーの代表的アーティストによる活躍と、アルマジロ・ワールド・ヘッドクォーターズという奇妙な名前を持ったライヴホールの存在があったことにほかならない。