この11月、新型コロナの感染が世界的に拡大していた4月に、ドリー・パートンがアメリカ・ヴァンダービルト大学のメディカルセンターに治療法の研究費として100万ドル(1億円強)を寄付していたことが分かった。日本ではカントリー系音楽の人気があまりないためかドリーの名前はあまり知られていないが、彼女は音楽界だけにとどまらないアメリカショービジネス界の巨人ともいうべき天才的なアーティストである。例えば、93年に故ホイットニー・ヒューストンが歌って450万枚を超えるモンスターヒットとなった「オールウェイズ・ラブ・ユー(原題:I Will Always Love You)」はドリーの作詞作曲であるし、グラミー賞受賞回数は9回、ビルボードのカントリーチャートで1位を獲得した曲は25曲にも及ぶ。また、ピアノやギター以外にも数種類の楽器を操るマルチ・インストゥルメンタリストとしても知られ、他にも女優や実業家としても大成功を収めているアーティストなのである。今回は彼女がソングライターとして頭角を現し始めた、70年代中期の13thアルバム『ジョリーン』(’74)を取り上げる。