1977年9月16日、T・レックスのリーダー、マーク・ボランは内縁の妻で歌手のグロリア・ジョーンズが運転する車の自動車事故によって即死、享年29歳であった。このニュースがテレビや新聞で取り上げられた時、熱心なファンを除いて日本ではすでに忘れられた存在であったが、イギリスにおいては彼の音楽やファッションは連綿と生き続けており、そのカリスマ性は世界中のアーティストに大きな影響を与え続けている。今回はセンシティブなフォークデュオからスタートしたボランがポップスターへと変身するきっかけとなった大ヒットアルバム『電気の武者(原題:The Electric Warrior)』(‘71)を取り上げる。