今から半世紀近く前の1972年、本作『永遠の絆(原題:Will The Circle Be Unbroken)』はリリースされた。このアルバムは当時のフォークファンを中心に大きな話題となり、その頃は知名度の低かった“ブルーグラス音楽”に多くの注目が集まることになる。大学の軽音楽部でもブルーグラスバンドが結成されただけでなく、ブルーグラスやオールドタイムのグループのみを抱えるアメリカ民謡同好会のようなサークルが設立されるほどの人気を博した。この時期、高度成長期の終焉や学生運動の挫折などから、全国的に“のんびり”や“ゆったり”した気分が求められており、熱いハードロックやブルースなどに人気が集まる一方、SSW系やカントリーロック系音楽に惹かれる(もしくは転向する)若者も少なくなかった。そういった意味で、ロックバンドとして高い人気のあったニッティ・グリッティ・ダート・バンド(以下、NGDB)が土の香りのするアンプラグドのアルバムをリリースしたことで、より広い範囲のリスナーを獲得することになるのである。本作は、今聴いてもまったく古くなってはおらず、全曲傾聴に値する名盤である。