アイルランドのベルファストで1945年に生まれたヴァン・モリソンは、レコードコレクターであった親の影響で小さい頃から、ブルース、ヒルビリー、カントリー、フォーク、ジャズなど、アメリカのルーツ音楽をひと通り聴いて育っいる。ビートルズがデビューすると彼も大きな影響を受け、エリック・クラプトン、リッチー・ブラックモア、ロッド・スチュワートといった他の同い歳のブリティッシュロッカーと同じく、R&Bやスキッフルのバンドを渡り歩き、64年にはブルーアイド・ソウルのグループとして人気を博したゼムを結成する。今回紹介する『ムーンダンス』は、ゼム脱退後の70年にリリースされた彼の3rdソロアルバムで、魂のこもった音楽が満載の傑作である。