名曲「グルーヴィン」や「ロンリー・トゥ・ロング」など多くのヒット曲で知られるヤング・ラスカルズは、黒人音楽専門レーベルのアトランティックと契約した最初の白人グループで、65年にシングルデビューしている。60年代後半になるとアトランティックはレッド・ツェッペリンやイエスなど多くのロックアーティストを獲得するようになるが、65年の時点で白人ばかりのヤング・ラスカルズがアトランティックと契約するのは異例中の異例であった。それだけ、そのサウンドは黒っぽかったのである。彼らの生み出す音楽はブルーアイドソウルと呼ばれ、もちろん他にも黒人音楽に影響を受けた白人は少なくなかったが、ラスカルズの“黒っぽさ”は筋金入りであった。今回紹介する『アイランド・オブ・リアル』はラスカルズの最後のアルバムで、どちらかと言えばポップスやソフトロックの立ち位置にいた彼らが、渾身の力を込めて作り上げたロックスピリットにあふれるポップソウル風の傑作である。